来院・入院の方へ
リハビリテーション科 座談会

Cross talk リハビリで支える、地域とともに歩む暮らし


Cross talk
リハビリで支える、
地域とともに歩む暮らし
私たちは患者さんの「回復のその先」を見据えながら、地域とつながるリハビリテーション(以下、リハビリと略す)を実践しています。
メンバー
-
N.Mさん 科長
理学療法士 -
N.Mさん 医師
-
K.Kさん 科長補佐
言語聴覚士 -
O.Tさん 回復期グループ主任
理学療法士
01
Cross talk –地域で支える、患者さん一人ひとりの暮らし

私は理学療法士として、主に患者さんの機能回復に携わっています。出身は島根県の津和野町で、当院に入職して18年目になります。現在はリハビリ科の回復期グループに所属し、主任としてチームの運営にも携わっています。

言語聴覚士として、外来リハビリ・急性期・地域包括ケア病棟・介護医療院を横断的に担当する「総合グループ」の主任を務めています。また、リハビリ科では科長補佐も兼任しており、多職種と連携しながら、より良い支援の提供に力を注いでいます。益田市の出身で、現在は2人の子どもを育てながら、仕事と家庭の両立に奮闘する毎日です。

岡山県出身で島根大学医学部を卒業後、医師としてのキャリアをスタートしました。大学院では消化器内科を専門とし、肝臓の研究で博士号を取得しています。長男の出産を機に県西部へ移住し、当院勤務も20年目となりました。現在はリハビリ科で、回復期の診療を中心に担当しています。

益田市出身で、理学療法士として働き始めて今年で20年になります。現在はリハビリ科の科長を務めており、スタッフの育成やチーム運営、地域との連携に取り組んでいます。当科には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歯科衛生士・リハ助手など多職種が在籍しており、それぞれの専門性を活かしながら、チームとして円滑に連携できる体制を整えています。

02
Cross talk –外来から施設まで、広がるリハビリ支援

当院はケアミックス型の総合病院として、急性期から回復期、生活期・慢性期に至るまで、患者さんの状態に応じたリハビリを提供しています。入院から外来まで幅広く対応できるのが特徴で、365日体制でのリハビリ実施は、この地域では珍しい取り組みです。
また、当院は益田圏域で唯一、回復期リハビリ病棟を有しており、地域全体の受け皿としての役割も担っています。
また、当院は益田圏域で唯一、回復期リハビリ病棟を有しており、地域全体の受け皿としての役割も担っています。

外来では、圏外の病院で整形外科手術を受けた方や、当院の回復期リハ病棟を退院された脳血管疾患の患者さんなどに、継続的なフォローを行っています。特に高次脳機能障害、失語症、麻痺の残る方には、生活に適応するための個別リハビリを提供しています。
また、摂食嚥下障害のある方に対しては、施設に入所中の患者さんの嚥下機能評価も外来で行っています。この地域では言語聴覚士が常駐する施設が少ないため、現場での評価や指導の依頼も増えており、医療機関だけでなく福祉施設との連携にも力を入れています。
また、摂食嚥下障害のある方に対しては、施設に入所中の患者さんの嚥下機能評価も外来で行っています。この地域では言語聴覚士が常駐する施設が少ないため、現場での評価や指導の依頼も増えており、医療機関だけでなく福祉施設との連携にも力を入れています。

回復期リハビリ病棟では、大腿骨骨折や脳血管障害(脳梗塞・脳出血)後の患者さんが多く入院されます。病状がある程度安定したタイミングで、在宅復帰を目指してリハビリを集中的に行うというフェーズですね。また、脊髄損傷や下肢の切断、圧迫骨折といった患者さんもおられます。
患者さんそれぞれに異なる目標がありますが、「自分らしい生活に戻りたい」という共通の思いに寄り添い、機能回復だけでなく、その人らしい暮らしへの支援を大切にしています。
患者さんそれぞれに異なる目標がありますが、「自分らしい生活に戻りたい」という共通の思いに寄り添い、機能回復だけでなく、その人らしい暮らしへの支援を大切にしています。

03
Cross talk –高齢化が進むなかで、変わるリハビリのかたち

最近では、70代の患者さんでも比較的お若いと感じることが多くなりました。90代以上の方の入院も珍しくなく、地域全体の高齢化が進んでいるのを実感しています。また、独居や老老介護の家庭も増えており、医療だけでは対応しきれない複雑なケースが増加傾向にあります。
こうした状況では、病状だけでなく、患者さんの生活環境や家族構成、経済的な背景まで考慮した支援が必要になります。たんに「家に帰れるかどうか」ではなく、「どうすれば安心して暮らしていけるか」を見据えた関わりが、より重要になってきていると感じています。
こうした状況では、病状だけでなく、患者さんの生活環境や家族構成、経済的な背景まで考慮した支援が必要になります。たんに「家に帰れるかどうか」ではなく、「どうすれば安心して暮らしていけるか」を見据えた関わりが、より重要になってきていると感じています。

在宅復帰を目指すうえでは、機能回復だけでなく、服薬管理、栄養、住環境、介護体制の整備など、生活面での支援が不可欠です。ご家族が高齢だったり遠方に住んでいるケースも多く、医療と生活のすき間を埋めていく視点が今まで以上に求められています。多職種連携の必要性はもちろんのこと、退院後も継続して関わり続ける体制が地域全体で必要になってきていると感じます。

04
Cross talk –これからのリハビリ科に求められるもの

回復期リハビリ病棟では、在宅復帰を見据えながら、できる限り機能を高めていくことが重要です。そのためには、私たち療法士自身の技術や知識を日々の業務の中で磨き、根拠に基づいた介入が行えるよう研鑽を重ねていく必要があります。
しかし、それだけでは十分とは言えません。患者さんの予後や社会的背景を踏まえ、どのような支援が適切かを早期に見極める視点も求められます。
入院中のリハビリだけで完結するのではなく、その先の生活まで見据えた支援を考えていくことが、これからのリハビリにはますます必要になってくると感じています。
しかし、それだけでは十分とは言えません。患者さんの予後や社会的背景を踏まえ、どのような支援が適切かを早期に見極める視点も求められます。
入院中のリハビリだけで完結するのではなく、その先の生活まで見据えた支援を考えていくことが、これからのリハビリにはますます必要になってくると感じています。

リハビリをすれば自動的に退院できる、という時代ではなくなってきました。機能回復に加えて、薬の管理や介護サービスの導入、住まいの調整など、さまざまな側面から生活全体を整えていく必要があります。だからこそ、院内の多職種との連携に加え、地域の支援者との具体的な連携体制を築いていくことが、ますます重要になってきています。
また、支援者側にも「社会性」が強く求められる時代です。患者さんの暮らしに寄り添いながら、他職種や行政とも円滑に連携できる人材の育成が、これからの大きな課題だと感じています。
また、支援者側にも「社会性」が強く求められる時代です。患者さんの暮らしに寄り添いながら、他職種や行政とも円滑に連携できる人材の育成が、これからの大きな課題だと感じています。

療法士としての専門性を高めることはもちろんですが、支援するうえで大切なのは、患者さんやご家族の言葉にならない気持ちを汲み取れるかどうかだと思っています。どんなふうに暮らしていきたいか、どこで過ごしたいのか。そういった思いに寄り添いながら、支援を形にしていけるチームでありたいですね。

05
Cross talk –技術だけじゃない、リハビリ職のあり方

医療職として専門性を磨くことはもちろん重要ですが、それだけではなく、地域社会や多職種と連携する社会性も、今後ますます求められる力だと感じています。ときには、自らが医師会病院の顔として、地域や外部機関と関わる場面もあります。だからこそ、信頼される人間性や対話力を育んでいくことも、医療人にとって欠かせない要素です。
当院では「総合的なリハビリ」を理念に掲げ、急性期から生活期まで、幅広い患者層に対応しています。ジェネラリストとしての基盤を築きながら、さらに専門性を深めていく意欲を持つ方と、共に学び、成長していけたら嬉しいです。
当院では「総合的なリハビリ」を理念に掲げ、急性期から生活期まで、幅広い患者層に対応しています。ジェネラリストとしての基盤を築きながら、さらに専門性を深めていく意欲を持つ方と、共に学び、成長していけたら嬉しいです。

「どのような医療人になりたいのか」、そのなりたい姿を、ぜひ教えてください。それぞれの目標に合わせて、私たちができる限りのサポートをしていきたいと考えています。
リハビリ医学は、今後さらに専門性が確立されていくべき分野です。消化器内科から転向した私自身のように、診療科の枠を越えてこの領域に興味を持ち、未来をともに築いてくださる仲間をお待ちしています。
リハビリ医学は、今後さらに専門性が確立されていくべき分野です。消化器内科から転向した私自身のように、診療科の枠を越えてこの領域に興味を持ち、未来をともに築いてくださる仲間をお待ちしています。

学生時代に友人が言っていた「自分の夢は、患者さんの夢を叶えること」という言葉を、今も大切にしています。患者さんが「また歩けるようになった」「自分でできることが増えた」と希望を持てるよう、私たちが支えることがこの仕事のやりがいだと感じています。そんな想いを共有し、一緒にリハビリを届けてくださる方と出会えることを楽しみにしています。

学生時代、先生に「訓練のたびに、患者さんに小さなお土産を持って帰っていただきなさい」と言われたことが、今の仕事の軸になっています。そのお土産は、少しの前進かもしれませんし、気持ちが軽くなる一言かもしれません。どんな関わりであっても、患者さんの心に何かが残るような時間を、一緒につくっていける方と働けたら嬉しいです。
