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子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症は、婦人科疾患の中では最も頻度が高く、ありふれた良性疾患ですが、放置すると重症化し、高度の貧血や深刻な症状に陥ることがあるので、早期の診断や適切な治療が重要です。当科では子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症の診断から治療まで対応しておりますので気になる方は遠慮なく受診ください。

子宮筋腫の診断

子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、子宮の壁にこぶ(筋腫核)ができます。その大きさ、数、位置により無症状から様々な症状を呈するものまで幅広く存在します。症状としては、月経過多、それによる貧血、下腹部圧迫感や痛み、膀胱の圧迫による頻尿、腸の圧迫による便秘などです。月経過多が最も一般的な症状です。そのような症状があれば婦人科受診を推奨します。診断は内診の際の経腟超音波検査で簡単にできます。

子宮筋腫の治療

治療の基本方針は、症状のある方、もしくはサイズの大きな方が治療対象となり、症状の軽い方は基本的には経過観察が可能です。治療は薬物療法と手術療法に大別できます。子宮筋腫は良性ですので、その治療は基本的には症状を和らげる、もしくは症状を取ることを目的とします。薬物療法では低容量、超低容量ピルや、女性ホルモンの分泌をおさえるGnRHアゴニスト製剤で月経時の経血量や筋腫による諸症状を改善します。当科では、すべての薬物療法に対応しています。

子宮腺筋症の診断

子宮腺筋症は筋腫の親戚のような病気で、子宮筋腫と同様に子宮が腫大しますが、筋腫のようにこぶ(筋腫核)を形成することはありません。子宮腺筋症では子宮の壁が全体的に肥厚します。後述する子宮内膜症の一種と言えます。症状は子宮筋腫が過多月経を主体とするのに対して、子宮腺筋症では月経の痛み(月経困難症)が出現します。また、筋腫と腺筋症が合併することも良くあります。診断は内診の際の経腟超音波検査で簡単にできます。

子宮腺筋症の治療

子宮筋腫と同様、症状が強い方が対象となり、薬物療法と手術療法に大別できます。薬物療法はほぼ子宮筋腫と同様で、低容量、超低容量ピルや、女性ホルモンの分泌をおさえるGnRHアゴニスト製剤で痛みや付随する諸症状を改善します。

子宮内膜症の診断

子宮内膜症は、本来子宮の中に存在する子宮内膜が、月経時の月経血逆流により腹腔内に入り、卵巣などに生着して出血病巣を作る病気です。子宮の後面(ダグラス窩)や卵巣を好発部位とし、卵巣にできた場合は卵巣チョコレート嚢胞といわれる良性腫瘍を形成します。主な症状は月経時の疼痛や性交痛、下腹部痛です。内膜症が進行すると不妊症の原因にもなります。診断は内診の際の経腟超音波検査で比較的簡単にできます。

子宮内膜症の治療

治療の基本は薬物療法により痛みなどの症状を取り除くことですが、症状が特に強い場合やチョコレート囊胞のサイズによっては手術療法が選択される場合もあります。年齢、挙児希望、症状の強さ、病変の大きさなどを総合的に勘案して患者さんとの相談の上で治療方針が決まります。薬物療法では、子宮筋腫と同様、低容量もしくは超低容量ピルや、女性ホルモンの分泌をおさえるGnRHアゴニスト製剤が用いられます。