看護部
看護部長インタビュー
Nurse Interview

Nurse Interview 大切にしていることは
「そのひとらしく」を尊重し、
一人ひとりの人生に寄り添うこと

地域とつながり地域を支える、切れ目のないケアを提供していきます
看護部長
熊谷 武美

大切にしていることは
「そのひとらしく」を尊重し、
一人ひとりの人生に寄り添うこと

地域とつながり地域を支える、切れ目のないケアを提供していきます
01

Interview –負けず嫌いで自己表現を大切にする性格

私は島根県の山あいの自然豊かな地域で育ちました。冬には雪も多く、中学生の頃から冬の間は学校の寮に入り生活をしていました。

三姉妹の真ん中として育った私は、上にも下にも挟まれていた分、「自分にも注目してほしい」という気持ちがどこかにあったのかもしれません。誰かに負けたくないという思いや、自分らしさを表現したいという意識は、幼い頃から私の中に根付いていたように思います。

02

Interview –自立できる専門職に惹かれた

看護師という仕事を意識するようになったのは、高校生の進路を考えていた頃のことです。祖父が自宅で最期を迎えた際、訪問してくれた看護師さんの姿を通して、看護という仕事の意味や温かさを初めて実感しました。人の最期に寄り添い、支えるその姿に大きな感動を覚えたことが、看護を志す大きなきっかけとなりました。

また、叔母や姉も看護師として働いており、身近にその姿を見ていたことも自然と進路選択に影響を与えていたのだと思います。手に職をつけ、自立した一人の人間として生きていけること、そして一生続けていける専門職であることも魅力に感じました。

03

Interview –看護の可能性を広く実感

長く看護の現場に携わっていく中で、次第に自分の役割も変化してきました。現場で経験を重ねる中で、「今度は自分が後輩を支える立場になっていくんだ」と自然に感じるようになり、教育や指導といった分野にも関心を持つようになったのです。

実際、当院では以前から看護学生と関わる機会がありました。
そのとき、「自分もこうして誰かの成長を支える存在になりたい」という想いが芽生え、実習指導者の資格取得などを通じて学びを深めていきました。 学生の成長を支援し、私自身も成長を実感することで実習指導者のやりがいを感じることができ、実習指導で得た知識やスキルは、実習生ばかりでなく、新人職員の指導にも応用でき、組織全体のスキル向上にも繋げることができます。新人看護師の育成にも携わる指導の中で、教える側にとっても成長の連続であることを実感していますし、指導の中で見えてくる看護の本質のようなものも感じています。

平成29年からは副看護部長として地域連携室に配属され、院外の医療機関や介護施設との調整や関係づくりにも携わるようになりました。地域とつながるということは、患者さんを支えるうえでも非常に大切な視点ですし、病院の看護が地域とどのように結びついていくかを知る大きなきっかけにもなりました。外部とのやりとりを通じて視野が広がり、看護の可能性をもっと深く感じるようになったのもこの時期です。

教育、育成、そして地域とのつながり――。どれも看護の仕事の中にある大切な要素だと思っています。そして、そういった役割を担えるようになったのは、これまでこの病院で経験を重ねさせてもらったからこそだと感じています。

04

Interview –多様な経験を重ね、視野を広げる

長く同じ部署で専門性を深めている看護師も多くいますが、私自身は「さまざまな経験を積むことが、自分の看護師としての成長に繋がる」と常に感じてきました。そのため、節目ごとに異なる部署で新しい視点を得る機会に恵まれたことは、今の自分にとって大きな財産だと思っています。

振り返ってみると、「このタイミングで異動してみないか」「こういう役割に挑戦してみないか」と声をかけていただけたことが、次のステップへ進むきっかけになりました。決して自分ひとりでは気づけなかった可能性に、周囲が気づいてくれて、後押ししてくれたこと。その積み重ねが、管理職としての視野や判断力にもつながっていると感じています。

病棟での経験、外来やリハビリ、地域連携といった多様な現場で得た学びが、今の看護部全体を見渡す力にもなっています。こうした環境のなかで、自分自身の可能性を少しずつ広げながらキャリアを築いてこられたことに、感謝の気持ちを持っています。

これからの時代、看護師の働き方や役割はますます多様になっていくと思います。だからこそ、「一つの道にこだわらず、いろいろな経験を重ねながら成長していきたい」と考えている方には、きっと当院の環境は合っているのではないかと思います。自分のペースで、一歩ずつ前に進んでいける職場として、これからも後輩たちをしっかり支えていきたいと思っています。

05

Interview –患者さん一人ひとりを尊重し相手の立場に立った患者さん中心の看護

病院を取り巻く環境は、これからもどんどん変わっていくと思います。地域で必要とされ続ける医療機関であるためには、新しい事業や体制の見直しといった「変化」に柔軟に対応していくことが欠かせません。
ですが、そのなかでも決して変えてはいけないものがあるとすれば、それは「看護の本質」だと思っています。
どれほど医療が高度化し、専門的になっても、私たちの看護の中心には常に患者さんがいるべきだと考えています。

看護部の理念にもある「一人ひとりの人生に寄り添い」という言葉。その意味を、ただのスローガンに終わらせるのではなく、日々の実践の中で本当の意味を理解し、行動に移すことが大切です。患者さんの病気だけでなく、その人がどんな人生を歩んできたのか、どんな家族や役割を持っていたのか、そしてこれからどのように暮らしていきたいのか。そうした背景までしっかりと知ろうとする姿勢が、大切です。

患者さんご家族さんの価値観や夢を共有し、その実現に向けた退院後の生活をもサポートしていきます。

06

Interview –“看護の心”を大切に
個々のペースに合わせた基礎教育

だからこそ、まずは患者さんの声なき声をしっかり聴くこと、知ること、看ること。その人が今どのような状態なのか、どんな人生を歩み、今どんな思いで入院されているのかを理解したうえで、専門職の私たちに、「何ができるか」「どう支援していくか」を一緒に考えられる看護師になってほしい。それが私の願いですし、当院の看護部として大切にしている姿勢でもあります。

新卒、既卒、復職と、背景の異なる方が入職されますが、看護の本質に違いはありません。新人の頃はどうしても業務や技術の習得に意識が向かいがちですが、たとえば心電図をとる、その行為の中にも「冷たくないですか?」という声かけや、患者さんの不安に配慮する気遣いがあるかどうか。それこそが、技術と看護の大きな違いだと感じています。だからこそ、ただ技術を覚えるのではなく、その中に込められた“看護の心”を常に意識してほしいと願っています。

当院の新人看護教育について少し触れてみたいと思います。看護師1年目は看護師としての基礎づくり。部署配属後1か月はシャドーイングを取り入れ、先輩看護師と一緒に行動します。独り立ちできるまでには先輩ナースについてシャドー・逆シャドーをおこないながら、さまざまなことを学んでいきます。そして、1年をかけて個別性をふまえた看護実践ができるように、研修プログラムを計画しています。誰もが同じペースで進むわけではありません。1人ひとりの新人の皆さんのペースにあわせ、個々の力をどう伸ばしていこうか、部署全体、病院全体で考え、指導をすすめていきます。

07

Interview –患者と職員の双方が満足できる病院づくり

患者さん主体の医療、それは、患者さんのQOL(生活の質)を最優先にとらえ、その人らしい生活を送ることができるよう、全面的にサポートする医療のこと。それを実践するためには、それぞれの専門職が、自分の専門分野を最大限に生かしたチーム医療が本当に大切であると思っています。チーム医療をする中でそれぞれの専門職との連携は必須であり、そこには信頼関係があってこそ、患者さん一人ひとりに、よりよい医療とケアが提供できるのだと思っています。日々、様々な問題が発生したり、落ち込むこともあります。しかし、そこには一緒に考えてくれ、励ましてくれる仲間がいます。みんなで助け合って、地域に貢献できる病院にしていきたいと思います。

患者さんに「ここに入院してよかった」と思っていただける病院に。そして、職員自身が「この病院に就職してよかった」と心から感じられる職場に。それが私たちが目指している看護部の姿です。そんな思いに共感してくれる方と、一緒に働ける日を楽しみにしています。

熊谷 武美益田地域医療センター医師会病院 看護部長

経歴
  • 国立病院機構 呉医療センター附属呉看護学校 卒業
  • 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 入職
  • 1989年 益田地域医療センター医師会病院 入職
  • 2005年 看護主任 就任
  • 2012年 看護師長 就任
  • 2018年 副看護部長 就任
  • 2022年 看護部長 就任