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2020.10.01 リハビリ通信

3~8歳で、運動の好き嫌いが決まる!?

 「ゴールデンエイジ」という言葉を聞いたことがありますか?9〜12歳の頃のことをいいます。この時期は、「即座の習得」と言われ、見た運動をそのまま習得し、このときに体に覚えたことは大人になっても忘れないとも言われています。例えば、小学生の頃に山にスキーに行ってすぐに滑れるようになって、大人になって久々に行ったスキーで滑れてしまう。サッカーのテレビを見て、真似してドリブルのフェイントがすぐにできるようになった。など、こういった運動がすぐにできる時期が存在すると言われています。しかし、誰もが「即座の習得」をできるわけではないように思います。基礎がなければ応用はできないからです。その基礎ができるのが「プレゴールデンエイジ」と呼ばれ、運動神経を大きく高めることができる時期として重要視されています。今回は、そんなプレゴールデンエイジについてご紹介します。
 

プレゴールデンエイジの特徴は?

 プレゴールデンエイジは3〜8歳ごろです。スキャモンの発達曲線という有名なグラフがありますが、これによると運動神経の発達は、この時期に急激に伸び、5歳頃までに大人の80%成長すると言われています。この時期をどのように過ごすかが、運動神経が良くなるかどうか重要と思います。
 

どんな運動を行ったら良いか?

 一般的には野球、サッカーなどの専門的なスポーツをさせるよりは、色々な遊びをした方が良いと言われています。例えば、鬼ごっこや、公園遊具で遊んだり、砂場を裸足で歩いたりと、なにか特別なことをしなくても30分でも時間を作って遊ぶことで運動神経を鍛えることが出来ます。もう一つ、大切なことがあります。出来たことに対して褒めてあげることです。ある研究によると、パフォーマンスを自分が褒められるグループと、自分が褒められないグループを比較したときに、褒められたグループの成績が褒められないグループに比べ、翌日の成績が20%向上したという報告もあります。つまり褒めることは、運動が好きになるきっかけづくりだけでなく、運動能力を伸ばすことになります。
 

◯運動を考えるときのコツ。

コーディネーション能力
①リズム リズム感・タイミングをつかむ
②バランス バランスを正しく保ち、崩れた姿勢を立て直す
③変換 周囲の状況の変化に応じて動きを切り替えられる
④反応 合図に素早く動作できる
⑤連結 胴体と四肢をスムースに動かせる
⑥定位 自分と対象物の位置関係を認識する
⑦識別 遊具やスポーツ道具など上手く使いこなす

 

上の図は、運動能力を7つの要素に分けた表になります。運動や遊びを提供するときに、どんな要素が含まれているか考えるとよいかもしれません。一つ自宅でできる遊びを紹介します。
①紙ティッシュを、3枚準備します。
②真上にティッシュを投げます。
③それを地面に落ちないように取ってください。

 

この遊びは、
◯目でティッシュの位置を確認する。
◯ティッシュをとるために自分の手をどれだけ伸ばせば届くか判断する。
◯下に落ちてくるティッシュに対して膝や腰を曲げて対応していく。
◯ティッシュを取るためにタイミングをとり、つかむ

この遊びで上の表の①、③、④、⑤、⑥がコーディネートできます。
遊びを考える時に、上の表を参考にバランスよくすることが、子どもの運動神経の発達に良いと思います。
 

おわりに

 プレゴールデンエイジは、神経系が一気に発達する時期です。この時期に子供達にしっかり関わってあげることで、運動能力の基礎が形作られます。いろいろな遊びや運動の中で一緒に楽しみながら大切な時期を過ごしてください。

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