2015.05.28
病院紹介
院内感染対策の取り組みについて
当院では、安心して医療を受けていただけるよう、以下のような院内感染対策を実施しています。院内での感染症の発生を防止するために、患者さまやお見舞いの方へお願いすることもありますので、ご理解のうえご協力をお願いいたします。
- ・手指衛生などの感染対策
患者さまの診察や看護の前後には、手指消毒や手洗いを行います。
また、必要に応じてマスクや手袋などを着用し、診察、看護を行います。 - ・サーベイランス
耐性菌の検出状況や院内での感染症の発生動向を調査しています。 - ・耐性菌防止のための抗菌薬の適正使用
抗菌薬に効かなくなる菌の発生を抑制するために、抗菌薬の適正使用に努めています。 - ・職員教育
職員に対し、院内感染対策に関する教育を行っています。
また、院内を定期的に巡回し、適切に対策が実施されているか評価しています。 - ・地域連携
地域の医療機関と情報交換を行うことによって、感染症発生を早期に抑制するように努めています。
感染対策指針
Ⅰ.院内感染対策に関する基本的考え方
感染対策の基本は、標準予防策である。標準予防策は全入院患者を対象に行うことが必要とされる予防策である。さらに、特定の感染経路がある疾患等に対して感染経路別予防策を追加する。
この考え方を基本に院内感染を未然に防止し、発生した場合は原因の迅速な特定と制圧、終息を図るものとし、全職員がこの指針に即して感染対策を実施し良質な医療が提供できるように定めるものである。
なお、この指針は益田地域医療センター内の医師会病院で発生した院内感染に関する内容を定めたものである。
Ⅱ.院内感染防止対策のための組織に関する事項
- 1.医療センター感染対策委員会(Infection Control Committee:以下ICCとする)の設置
院内感染予防を図り、院内感染が発生した場合、発生状況に応じた対策を樹立し、患者の安全を確保するために設置する。
1)構成メンバー
①病院長
②ふたば棟施設長
③院内感染対策担当医師
④事務長
⑤事務次長
⑥看護部長
⑦総務課長
⑧看護部感染対策委員長
⑨医療安全室室長
⑩薬剤科長
⑪臨床検査科長
⑫リハビリテーション科長
⑬くにさき苑看護師長
⑭感染対策チーム委員長
2)総括責任者たる委員長を置き、病院長がこの任に当たる。また事務長を監督責任者とする。
3)次の内容の審議、決議を行う。
①毎月1回会議を開催する。
②院内感染対策指針及びマニュアルの承認
③院内感染予防に関する事項
④アウトブレイク時の速やかな情報収集と対策の立案、全職員への周知の徹底
⑤患者等への感染対策の広報
- 2.院内感染管理者の配置
1)病院長は、院内感染対策の実務責任者(感染管理者)を任命する。
2)院内感染管理者は、医療センター全般に関わる感染対策の立案、計画、実行、評価を含め、感染防止対策のための組織横断的活動を行う。
3)感染管理者は、院内感染対策のために感染対策に係る必要な権限と資源を付与されて業務を行う。
4)感染管理者は、感染対策室に所属して病院管理者(病院長)の直接の指示命令下で業務を行う。
- 3.感染対策チームの設置
感染対策チーム(Infection Control Team:以下ICTとする)は、感染対策委員会の下部組織として設置する。院内で必要な感染防止対策を協議するために設置する。
1)構成メンバー
①担当医師
②認定看護師
③臨床検査技師
④薬剤師
⑤看護部感染対策委員会委員長
⑥管理栄養士
⑦病院事業部 総務課
⑧益田市医師会事業本部 施設課
2)責任者となる委員長を置き、認定看護師がその任に当たる。
3)次の内容の活動・協議を行う。
①毎月1回会議を開催する。
②毎週1回院内ラウンドを施行する。
③感染対策マニュアルを改正する。
④感染対策に関する事項
⑤抗菌薬の適正使用に関する事項
⑥職員研修の計画、実施に関する事項
⑦アウトブレイク時は速やかな情報収集、分析、対策の立案、全職員への周知の徹底をICCと協力して行う。
⑧ICTで協議したことをICCで報告する。
- 4.感染対策室の設置
感染対策室は院内感染対策委員会を調整・補佐するとともに、院内感染防止対策の企画・立案・推進のための中核的な役割を担い病院全体の感染防止対策を総括する。また、万一院内感染が発生した場合は迅速に感染を終息させるための対策を講じ、安全で質の高い医療サービスの提供に資することを目的に設置する。
1)業務
①医療センター感染対策委員会で用いられる資料及び議事録の保管管理に関すること。
②感染対策に関する職場の情報収集・職場巡視等に関すること。
③マニュアルの点検および改訂に関すること。
④院内感染のサーベイランスと予防対策の検討、再発防止対策の実施の総括業務に関すること。
⑤アウトブレイク時の情報収集、対策、改善策の提案、指導、評価。職場へのフィードバック等に関すること。
⑥感染対策に関する最新情報の把握と職員への周知に関すること。
⑦感染対策に関する職員への啓発・教育活動の企画・運営・広報に関すること。
⑧院内の感染防止に関する連絡・調整に関すること。
⑨感染対策管理の推進のための組織横断的な活動に関すること。
⑩患者・家族の相談窓口設置に関すること。
⑪感染対策に関する連携医療機関との連絡・調整に関すること。
Ⅲ.職員研修
- 1.院内感染防止対策の基本的な考え方及び具体的方策について職員に周知徹底を図ることを目的に実施する。
- 2.職員研修は、年2回全職員を対象に開催する。また、必要に応じて臨時開催する。
- 3.研修の開催結果を記録・保存する。
Ⅳ.院内感染対策が必要な病原体が検出された場合の報告
- 1.細菌検査室は、院内感染対策上問題となる病原体を検出した場合、速やかに主治医及び感染対策室に報告する。感染対策室は、現状を分析してICTと協力して必要な対策を行う。
- 2.細菌検査室は、病原体の検出状況を毎月1回のICT会議で報告する。稀な病原体については、毎週1回のICTラウンド時に報告する。
- 3.感染対策室は、院内感染上問題となる主要な病原体の検出状況を、医療センター感染対策委員会に報告する。
Ⅴ.抗菌薬適正使用
- 1.対象微生物と対象臓器の組織内濃度を考慮して適正量を投与する。
- 2.分離細菌の薬剤感受性検査結果に基づいて抗菌薬を選択する。
- 3.細菌培養等の検査結果を得る前でも必要な場合は、経験的治療を行わなければならない。
- 4.必要に応じた血中濃度therapeutic drug monitoring(TDM)により適正かつ効果的投与を行う。
- 5.特別な例を除いて、1つの抗菌薬を長期間連続使用することは厳に慎まなければならない。
- 6.手術に際しては、対象とする臓器内濃度と対象微生物を考慮して、有効血中濃度を維持するよう投与することが重要である。
- 7.抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬、カルバペネム系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬の使用状況を把握しておく。
- 8.バンコマイシン耐性腸球菌、MRSA、多剤耐性緑膿菌など特定の多剤耐性菌を保菌していても無症状の症例に対しては、抗菌薬の投与による除菌は行わない。
Ⅵ.院内感染発生時の対応
- 1.感染症の異常発生を確認した職員は、直ちに感染対策室に報告する。感染対策室は、現状の分析を行い、ICTと協力して必要な感染対策を行う。
- 2.異常発生時は、その状況および患者への対応を病院長へ報告する。必要に応じ、臨時の対策委員会を開催する。
Ⅶ.院内感染対策マニュアル
別紙の院内感染対策マニュアルに沿って、院内感染対策に努める
Ⅷ.患者への情報提供と説明
- 1.疾患の説明とともに、感染防止の基本についても説明し、理解を得た上で協力を求める。
- 2.閲覧の希望があった場合、院長の決裁により許可する。
Ⅸ.その他の医療機関内における院内感染対策の推進
- 1.季節性インフルエンザの流行に備え、全職員にワクチン接種を推奨する。
- 2.必要に応じ、外部機関に適切な助言を求める。
Ⅹ.附則
- 1.この指針は、平成27年4月1日から施行する。
- 2.平成29年12月 一部修正