医師会病院

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2020.02.06 リハビリ通信

老人性難聴について

 聴力は20代をピークに加齢に伴って徐々に低下していきます。
 


 

 加齢以外に難聴の原因がないものを「老人性難聴」といいます。具体的には、耳の「内耳(ないじ)」に生理的な変化が起こることで発生します。耳は、顔から遠い部分から、外耳(がいじ)・中耳(ちゅうじ)・内耳の3部分に分けられ老人性難聴の原因になるのは、内耳の部分です。内耳にある、音を感じ取る細胞の数が減少したり、細胞の機能が低下したり、音を聞く神経に衰えが生じたりすることによって聞こえにくくなるといわれています。
 

その特徴は
① 高音部から聞き取りにくくなり、進行性に低下する
② 両耳ほぼ同程度に進行する
③ 純粋な音に比べて、話し声の区別がつきにくくなる
④ 男性のほうが低下しやすい
と言われています。 
 

高音部から聞き取りにくくなる

 日本語の音声は英語などほかの言語に比べると比較的低い音域にあるといえます。

 

さらに、日本語の子音を音の高さ別にまとめると以下のようになります。

 

老人性難聴は高音部から聞き取りにくくなるので「ふ」「す」「さ」などの音からはっきりしない、聞き取りにくくなると考えられています。
 

人の話し声が聞き分けにくくなる

 難聴の方が大きな声で話すことが多いのは、他の高齢者が聞き取れるような音量で話しているというのも一つの理由ですが、自分の声が聞こえないからでもあるのです。雑音の中から聞きたい音を聞き取ることが苦手です。できるだけ静かな場所や電話ではなく直接話すことができるとよいです。また高音部から聞き取りにくくなるため低めの声でゆっくりと話しかけるとききとりやすくなるそうです。難聴が重度であれば、書字で視覚的に補いながら話をするといいでしょう。
 

🔶治療

 基本的には加齢に伴う機能の低下のため、「適度な有酸素運動やバランスのよい食生活を心がける」など健康的に過ごすことが大切です。耳を守るため、大きな音を避けることも有効です。また軽度のうちから補聴器を使って聴覚刺激をきちんと入れることも進行の予防につながる可能性があります。
 補聴器を効果的に使用するには、難聴発症後早くから使い始め、訓練を行うことが大切です。また補聴器には「耳かけ型」「耳あな型」「ポケット型」など種類があるため、実際に使う場合は医師や補聴器販売店にてよく相談することが重要です。
 会話がしづらくなると他人とのつながりが億劫になり、ひきこもり傾向になりやすいといわれています。コミュニケーション不足や孤立感からうつ病を、刺激不足から認知症の発症につながる危険性も秘めています。会話を楽しんでいただけるように、話し手は老人性難聴の特徴を理解して、話し方に工夫してみるとよいと思います。

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