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2018.08.01 リハビリ通信

糖尿病と運動について

はじめに

 糖尿病とはどんな病気でしょうか。それは、インスリン(※1)の作用が不十分であるため、食事で取り込んだブドウ糖が有効に使われずに血糖値が高くなっている状態のことです。
※1インスリン…血液中の糖を筋肉や肝臓などへ取り込み、血糖を下げる働きをもつ唯一のホルモンといわれています。膵臓で作られ、血液によって全身に運ばれます。
 

原因

 原因によっていくかのタイプに分けられますが、ほとんどの場合が2型糖尿病と言われています。日本人は遺伝的にインスリン分泌が弱い人が多く、それに加え食べ過ぎ・運動不足などの生活習慣や加齢などの要因が加わって糖尿病となると言われています。
 

症状

放置するとさまざまな合併症を引き起こします。大きく二つの血管症に分かれます。
 

○細小血管症

網膜症:目のかすみ、視力低下失明
腎症:血圧上昇、尿中に蛋白がでる、からだのむくみなどの症状があらわれます。血液中に老廃物がたまり、腎不全や尿毒症など命に関わる症状となります。
神経障害:神経が障害され、手足のしびれやほてり、痛みなどを引き起こします。足の感覚がマヒして傷ややけどなどを放置してしまい、潰瘍や壊疽を引き起こすおそれもあります。
 

○大血管症

脳血管障害:脳梗塞が多いです。
心筋梗塞:心臓の筋肉に栄養や酸素を送る血管が動脈硬化によりひき起きこされます。
末梢動脈性疾患:足の血管の動脈硬化により痛みで運動ができない、休みながらでないと歩けないなどの症状が出ます。症状が進むと足に潰瘍や壊疽を起こし、切断に至ることもあります。
 

予防や初期糖尿病の治療で重要なのは食事と運動療法

ここでは主に運動について取り上げます。
 

○運動の目的

糖を取り込む器官である骨格筋の質を保ち、インスリン感受性を高め、膵臓を守ることです。強度が中等度以下の運動では糖質と脂質、強度の強い運動では糖質のみが筋肉のエネルギーとして利用されます。
 

○運動の急性効果

食後の運動実施は血糖上昇を抑制し、血糖コントロール状態の改善が期待できます。糖の取り込みが促進されます。
 

○トレーニング効果

インスリン抵抗性が改善されます。軽めの運動でも継続すればインスリン作用が改善するといわれています。効果は3日以内に低下し、一週間で消失するので血糖コントロール改善には運動強度よりも運動の頻度の方が重要となってきます。
 

○運動の内容

体操などの全身運動、歩行やランニングなどを中心とした有酸素運動、仕事での労作、散歩、家事など様々あります。食事療法に加え週4時間以上の運動を継続することで糖尿病の発症のリスクが低下し、運動の内容は家事、ガーデニング、仕事での身体労作でも有効である、ともいわれています。糖尿病の予防や改善のためには、一日を通して座る・寝るなどのじっとしている時間を減らすことが大切だと思われます。
 

毎日身体を動かしてぜひ糖尿病の予防や治療に取り組みましょう!

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