益田市医師会

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HEALTH INFORMATION医師会からの健康情報

2005.10.28

めまいについて

「めまい」って何だ?

「めまい」って何でしょう?
皆さんは “グルグルまわる”、“フワフワする”と表現するでしょう。
これを文章で言うと、“複数の感覚器からの情報が統合できずに違和感を覚える状態”です。さらに簡単に言うと、私たちは目、耳、関節や筋肉、皮膚などから体の位置を感じることができます。“目で見たり、体で感じる体の位置にずれがあること”です。
そして、その位置のずれは“体が動いていないのに動いているように感じる”“動いているが、別の方向に動いているように感じる”ということです。これがめまいとして皆さんに不快な感じを与えているのです。
 

「めまい」の種類

・回転性めまい
その名の通り“グルグル”と表現する方が多いと思います。天井がグルグルとまわってしまう。大抵は歩けなくて吐き気があり、時に吐いてしまうこともある、強いめまいが多いです。外から見ると、その名の通り目の玉がグルグル回っているのがわかることもあります。
 

・浮動性めまい
“フワフワ”するという方が多いと思います。回転性よりはめまい感は弱く、歩くことができるがふらつきがある程度のものでしょう。外からは診ても分からないものがほとんどです。
 

・気の遠くなるようなめまい
“フッと気が遠くなる”ように感じることを“めまい”とおっしゃる方が時々おられますが、厳密にはそれは“めまい”と言うよりも“失神・たちくらみ”に近いものです。しかし、この症状に続いて“めまい”が出現することもしばしばあります。
 

「めまい」の原因


先に書いたように、めまいは複数の感覚がうまく一致しないことにより起こるため、そのどこかに異常があります。そのなかでも、耳の中のバランスをとる器官(内耳:三半規管)とその神経(前庭神経)、更に脳(脳幹)などの中枢神経に異常があることがほとんどです。(図1)
 


皆さんがめまいで心配するのは、メニエール病と脳梗塞ではないでしょうか?
ズバリ、メニエール病は内耳の病気ですし、脳梗塞でもめまいは出ます。しかし、この2つは日常のめまいの原因としては、皆さんが思うほど決して多くありません。(図2)
 

代表的なめまいを起こす病気を紹介します。
・メニエール病
回転性のめまいで始まり、難聴・耳鳴りが伴います。発作は繰り返し、数日で消失します。聴力障害が伴うことと、繰り返すこと、数時間では治らないことが特徴です。
 

・良性発作性頭位めまい
比較的突然発症し回転性のめまいが多く、軽症では浮動感のみのこともあります。難聴などは伴いません。一定の方向に頭を向けることによって起こり数分でだんだん軽快し、また頭を動かすとめまいが出ます。これは数日で次第に軽快します。
 

・前庭神経炎
風邪などに引き続き回転性めまいで発症します。難聴は伴いません。
 

・小脳橋角部腫瘍
神経や頭蓋骨の骨膜から発生する腫瘍で前庭神経や脳幹が圧迫されて起きます。浮動性のめまいが多く、難聴や耳鳴りを伴います。顔のしびれや麻痺を伴うことがあり、悪化していきます。
 

・脳幹梗塞(ワレンベルグ症候群)
激しい回転性のめまいで発症し、頭の向きなどで軽快しません。嘔吐を伴うことが多く、体の感覚障害や運動障害、ろれつが回らないなどの症状が伴います。
 

・小脳梗塞・出血
脳幹梗塞同様激しい回転性のめまいで発症します。ふらついて立てない、物を上手く使えない、ダブって見える、ろれつが回らないなどの症状が伴います。
 

・脳循環不全
なんとなく“フワフワ”“フラフラ”する感じがあって歩きにくいという症状が数時間から数日続くということが多いようです。原因は脳幹や大脳のなどの血流が低下するためと考えられています。この状態が急激に高度に起こると失神を起こしたり、一日程度麻痺が出たりする状態(一過性脳虚血発作)になる可能性があります。
原因としては、もともと動脈硬化があるところに脱水が重なる、不整脈が連続で出る、血圧の薬が効きすぎているなどいろいろと考えられます。
 

“すぐ診てもらうべきめまい”とは?

・とにかく激しいめまい(起きても寝てもひどくて、吐いてしまう)
・めまいの他に症状がある(手足に麻痺がある・感覚がおかしい・呂律がおかしい・脈が飛ぶなど)
 

当院でできる“めまい”に関連した検査

・頭部MRI・CT:脳梗塞の有無・脳血管の狭搾・脳腫瘍の有無を見つけられます。
・頚動脈エコー:頚動脈の狭搾・椎骨動脈の流れの方向などがわかります。
・ABI/PWV測定装置:全身の動脈硬化と血管の流れの程度を間接的に測れます。
 

文責 医師会病院内科 安藤 喜仁

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