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2021.10.04 リハビリ通信

転倒を予防しよう

【転倒によって生じる問題】

近年、高齢者の増加に伴い、転倒や転落による骨折や外傷に増加傾向にあります。高齢者では骨粗鬆症によって骨が脆くなり、転倒により容易に骨折を引き起こしてしまいます。骨折してしまうと、そのまま寝たきりにつながる恐れもあります。また、転倒することによって歩くことへの恐怖心が生じることも問題となります。恐怖心により、歩行機会が減ることによって身体機能を低下させ、また転倒を繰り返すといった負の連鎖を招いてしまいます。
高齢者にとって転倒による骨折は健康寿命を短くする原因のひとつともされているため、未然に転倒を予防することは健康的な生活を送る上で非常に重要とされています。

 

【高齢者で転倒が多くなる要因】

転倒に結びつく要因には以下のようなものが挙げられます。
・加齢による筋力低下(特に下肢筋力)やバランス能力低下
・視力低下(段差などの障害物が認識しにくくなり危険察知能力の低下につながる)
・足首の可動域制限(躓きや姿勢の立て直し困難につながる)
・環境面(段差や滑りやすい床、夜間の足元の明るさなど)
・薬剤(薬の副作用によるめまいやふらつきなど)
・履物(スリッパなど脱げやすく滑りやすいものは転倒の危険性大)
 

【転倒を予防するために】

転倒を予防するためには転倒しない体づくりと環境整備になります。
①下肢の筋力やバランス機能を保つ
②体の柔軟性を保つ
③転倒しにくい環境をつくる(段差の解消、手すりの設置など)
④履物や杖などの用具を適切に選ぶ
 

特に重要になるのは筋力を維持することにあります。
以下に自宅でも簡単にできる筋力運動の例を挙げます。

○椅子からの立ち座り

・椅子に腰掛けて、立ち座りを行います。
・足を少し引いて、おじぎをしながら立ち上がりましょう。
・座る際はゆっくり座るようにしましょう。
・1セット10~20回を目安に行いましょう。

 

○踵の上げ下ろし

・立って、かかとを上げてつま先立ちになります。
・壁や机、椅子の背もたれを持って行い転ばないように注意しましょう。
・1セット10~20回を目安に実施しましょう。

 

○片脚立ち

・壁や机などを持ちながら行いましょう。
・片脚を挙げてから1分程度姿勢を保持しましょう。

 

【まとめ】

繰り返しになりますが、転倒予防で重要になるのは、運動と環境整備になります。特に筋力運動が重要となり、転倒しない身体を作るには、立つ・歩くための下肢筋力を十分に保っておくことと、簡単に体勢を崩さないようなバランス能力を保っておくことが大切になってきます。人によって身体機能や抱える痛みの程度も違うため、筋力運動の負荷量や回数などはかかりつけ医などへ相談し設定してください。毎日運動を行う習慣を身に着けて、転倒を未然に予防していきましょう。

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