病院指標(令和2年度)
令和2年度 益田地域医療センター医師会病院 病院指標
- 1.年齢階級別退院患者数
- 2.診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 3.初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 4.成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 5.脳梗塞の患者数等
- 6.診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
1.年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | – | – | 11 | 13 | 24 | 31 | 121 | 216 | 306 | 223 |
2.診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
<内科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 処置なし | 60 | 27.08 | 20.51 | 1.67% | 88.30 | |
050130xx9900xx | 心不全 手術なし 処置なし | 26 | 32.50 | 17.23 | 3.85% | 88.12 | |
100380xxxxxxxx | 体液量減少症 | 21 | 18.76 | 10.51 | 0.00% | 84.67 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 手術なし | 18 | 21.17 | 13.00 | 5.56% | 85.39 | |
010069xx99000x | 脳卒中の続発症 手術なし 処置なし 副傷病なし | – | – | 9.70 | – | – |
【定義】
各診療科別に患者数の多かった傷病の分類について、DPCコード、分類の名称、患者数、平均在院日数、全国の平均在院日数、転院率、平均年齢を掲載しています(「患者用パス」とは「入院から退院までの診療計画」のこと)。
【解説】
平均年齢からもわかるようにご高齢の患者様が多いため、誤嚥性肺炎が多くなっています。誤嚥(ごえん)とは、唾液や食物、胃液などが気管に入ってしまうことをいいます。その食物や唾液に含まれた細菌が気管から肺に入り込むことで起こるのが誤嚥性肺炎です。主に抗菌薬による治療を行いますが、併せて当院では言語聴覚療法士による嚥下訓練や口腔ケアも行っています。また必要に応じて医師、看護師、薬剤師、管理栄養士など多くのスタッフが集まり、治療のサポートを行います。
心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった状態を「心不全」と呼びます。心臓の機能を高めたり、むくみやその他心不全に伴う症状(呼吸困難や息切れ、動悸等)を改善するための薬物療法を行っています。
「体液量減少症」とは、体内の水分量が不足したときに起こる「脱水症」等のことです。
「腎臓または尿路の感染症」(腎臓、腎盂、尿管、膀胱、尿道、前立腺などの感染症)は免疫力の低下などから尿の通り道に細菌が入り、発熱等がみられる病気を言います。
いずれの場合も、入院治療を必要とした主な傷病の治療が終わった後、必要に応じてリハビリテーションや在宅復帰の準備、療養を目的に転棟の上、入院を継続する場合もあるため平均在院日数が長くなっています。
<外科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060035xx99x7xx | 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 手術なし 化学療法あり | 18 | 6.50 | 4.94 | 0.00% | 72.67 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 処置なし 副傷病なし | 14 | 12.14 | 9.08 | 0.00% | 81.86 | |
060040xx99x6xx | 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 | 13 | 5.23 | 4.48 | 0.00% | 66.92 | |
080010xxxx0xxx | 膿皮症 処置なし | 11 | 15.09 | 12.87 | 0.00% | 84.00 | |
060020xx99x5xx | 胃の悪性腫瘍 手術なし 化学療法あり | – | – | 7.00 | – | – |
【解説】
最も多い症例は「結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍」となっています。結腸の組織内に悪性(がん)細胞が認められる病気です。化学療法を目的とした入院で、平均在院日数が短くなっています。化学療法は投薬期間(数日間の入院)と休養期間(在宅生活)を繰り返して行われることが多いため、複数回入院している患者様もいます。
次に「ヘルニアの記載のない腸閉塞」となっています。食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で詰まった状態のことを腸閉塞と言います。腹部手術後の癒着(腸と腹腔壁や、腸同士がくっつく)がもとで、腸管が曲がったりふさがってしまう腸閉塞も決して少なくはありません。治療は、絶食と点滴及び抗菌薬の投与が基本で、鼻から減圧のためのチューブをいれることもあります。当院では手術に至ることなく軽快した患者様が多いですが、症状が変わらない場合などは手術による治療も行っています。
「直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍」は直腸の組織内に悪性(がん)細胞が認められる病気です。こちらも化学療法を目的とした入院となっています。
ここでいう「膿皮症」は蜂巣(ほうそう)炎が多くを占めています。蜂巣炎とは、皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけての細菌による化膿性炎症です。患者様の症状に応じて処置や抗菌薬を用いて、治療やリハビリテーションを行っています。
<整形外科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む) 手術なし | 53 | 42.28 | 18.81 | 0.00% | 84.96 | |
160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 手術あり | 27 | 54.37 | 25.09 | 3.70% | 82.33 | |
160800xx99xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 手術なし | 15 | 66.53 | 15.20 | 0.00% | 82.33 | |
160760xx97xx0x | 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし | 13 | 16.31 | 5.81 | 0.00% | 71.85 | |
160980xx99x0xx | 骨盤損傷 手術なし 処置なし | 12 | 50.75 | 19.06 | 0.00% | 84.92 |
【解説】
当院では胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸椎や腰椎の骨折等)の患者様が多くなっています。治療はコルセット等を装着して骨折部の安静を図り、骨癒合を期待します。
続いて「股関節・大腿近位の骨折」とは大腿骨頚部や転子部の骨折のことです。DPC名称からもわかるとおり、DPCコード160800xx01xxxxは手術の施行あり、160800xx99xx0は手術の施行なしを表しており、適応があれば手術療法を用います。早期にリハビリテーションを行い、離床と歩行の訓練を行います。
「前腕の骨折」前腕骨骨折とは、前腕に存在する、橈(とう)骨と尺骨のいずれか、もしくは両方に生じる骨折です。たとえば、転んだ際に手をつく、腕を挟まれる、強打するなどの外傷をきっかけに発症します。症状によってはリハビリテーションを行う場合もありますが、入院期間は比較的短くなっています。
「骨盤損傷」は骨盤部(仙骨・坐骨、恥骨等)の骨折です。治療はコルセットを装着し保存的治療を行っていきます。リハビリテーションを行い、離床の訓練を行います。
高齢の患者様が多いことが骨折(骨粗しょう症などにより骨が弱くなっていると、骨折しやすくなる)の患者数に影響していると推測されます。多くがリハビリテーションや在宅復帰の準備・療養のため転棟する場合もあるため平均在院日数が長くなっています。
※患者数が10件未満のDPCコードは「DPCコード」「DPC名称」「平均在院日数(全国)」のみ公表しています。
3.初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | – | – | – | 19 | – | – | 2 | 15 |
大腸癌 | – | 11 | – | 39 | – | – | 2 | 9 |
乳癌 | – | – | – | – | – | – | – | – |
肺癌 | – | – | – | – | – | – | – | – |
肝癌 | – | – | – | – | – | – | – | – |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【定義】
5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんの患者数を初発のUICC病期分類別、および再発にわけて集計しています。
UICC(国際対がん連合)が定めた腫瘍の病期分類があり、T(原発腫瘍の拡がり)、N(所属リンパ節転移の有無と拡がり)、M(遠隔転移の有無)を評価し、それを指標にがんの進行度と拡がりの程度を、一度に表わすことが出来るように作られたものがStage分類です。
Stage分類は、がんの進行状態を示すものであり、0期からⅣ期の5つに分類されます。0期に近いほど、がんが小さくとどまっている状態であり、Ⅳ期に近いほどがんが広がっている状態となります。
【解説】
当院では緩和医療やターミナルケアの割合が多く、ステージの進んだ症例が多くなっています。医師を始め、緩和ケア認定看護師と病棟看護師、多職種で患者様やご家族様に寄り添ったケアの提供を目指しています。
化学療法も行っていますので、一連の治療として入院を数回繰り返している場合もあります。
4.成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | – | – | – |
中等症 | 12 | 23.17 | 85.00 |
重症 | – | – | – |
超重症 | – | – | – |
不明 | – | – | – |
【定義】
入院のきっかけとなった傷病名および入院中の最も主要な傷病名が「成人の市中肺炎」にあたる、重症度別患者数、平均在院日数、平均年齢です。(誤嚥性肺炎は除外しています。)
重症度分類はA-DROPスコアを用い、軽度~超重症の4段階で表記しています。重症度分類の各因子が一つでも不明な場合は「不明」と分類しています。
肺炎の重症度分類(A-DROP)
①男性70歳以上、女性75歳以上
②BUN(尿素窒素) 21mg/dL以上、または脱水あり
③SpO2(酸素飽和度) 90%以下(PaO2〈動脈血酸素分圧〉 60Torr以下)
④意識障害あり
⑤血圧(収縮期)90mmHg以下
※5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点。
軽 症:0点の場合。
中等症:1~2点の場合。
重 症:3点の場合。
超重症:4~5点の場合。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。
不 明:重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。
【解説】
成人市中肺炎の罹患者のほとんどは高齢者です。重症度で見ると患者数が最も多いのは重症度1~2点(中等症)となっています。主に抗菌薬による治療、必要に応じて酸素投与等を行います。当院の立地条件や特性、地域性により重症度に関わらず、入院治療を行っています。
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の流行により、手洗い・うがい等の感染症対策が行われるようになり肺炎等の疾患は、全体的に減少傾向となりました。
5.脳梗塞の患者数等
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
– | 19 | 346.84 | 85.95 | 0.00% |
【定義】
入院中の最も主要な傷病名が脳梗塞であったものを対象に患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しました。
【解説】
脳梗塞とは、脳を養う血管(大きい血管から小さい血管まで)の一部が詰まっておこります。主に動脈硬化で細くなった血管につまる場合(ラクナ梗塞)、血管にコレステロールが溜まった結果、その血の固まりができて詰まる場合(アテローム血栓性脳梗塞)、心臓など他の部位でつくられた血の固まりが血流によって流れてきて詰まる場合(心原性脳塞栓症)が挙げられます。
当院では急性期治療(抗血管療法等)から慢性期治療(リハビリテーション目的等)を行っています。多くが高齢の患者様となっており、リハビリテーションや在宅復帰の準備・療養のため転棟する場合もあるため、平均在院日数が長くなっています。
6.診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
<内科>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K664 | 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) | 18 | 154.50 | 345.67 | 5.56% | 81.94 | |
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | – | – | – | – | – | |
K386 | 気管切開術 | – | – | – | – | – | |
K616-41 | 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) | – | – | – | – | – | |
K654 | 内視鏡的消化管止血術 | – | – | – | – | – |
【定義】
各診療科別に患者数の多かった手術名称について、患者数、平均術前日数、平均術後日数(術前・術後とも手術日は含まない)、転院率、平均年齢、患者用パスを掲載しています。また軽微とされる手術(創傷処理、皮膚切開、非観血的整復術等)は除外しています。
【解説】
胃瘻(いろう)造設術は、様々な理由により経口(口を通ること)から水分・食物・医薬品等の摂取ができなくなった場合に、胃に直接チューブを通して栄養等を投与できるようにするための手術です。当院では内視鏡を用い、胃瘻造設を行っています。
<整形外科>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 27 | 3.85 | 53.70 | 11.11% | 82.22 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 17 | 6.29 | 56.59 | 11.76% | 80.24 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 15 | 2.80 | 40.13 | 0.00% | 74.67 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) | 14 | 1.00 | 5.79 | 0.00% | 64.57 | |
K0732 | 関節内骨折観血的手術(足) | – | – | – | – | – |
【解説】
「骨折観血的手術(大腿・前腕)」は骨折している部位を切開し、骨を正常な位置に戻した後、ワイヤーやプレート、ネジなどで固定する手術です。
「人工骨頭挿入術(股)」は大腿骨の骨頭を人工のものに置き換えるという手術です。
「骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕)」骨固定手術が行われた症例に対し、切開により骨固定している材料を除去・摘出する手術です。平均年齢から見ても高齢の患者様による転倒等の骨折が多いことがわかります。
当院には地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟があり、手術後、必要に応じてリハビリテーションや在宅復帰の準備、療養を目的に病棟を移って、入院を継続する場合もあります。
転院率については、術後に長期療養が可能な病院への転院が必要となったことなどがあげられます。
※患者数が10件未満のKコードは、「Kコード」「名称」のみ公表しています。
7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 14 | 1.46% |
異なる | – | – |
【定義】
入院のきっかけとなった傷病名および入院中の最も主要な傷病名が「播種性血管内凝固」、「敗血症」、「その他の真菌症」、「手術・術後の合併症」について患者数をカウントし、全患者に対する発症率を算出しています。入院のきっかけとなった傷病名と入院中の最も主要な傷病名が同一か否かで集計をしています。
播種性血管内凝固:感染症などによって起こる、全身性の重症な病態です。
敗血症:感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。
真菌症:真菌(カンジダ、アスペルギルスなど)による感染症です。
手術・処置などの合併症 :手術や処置などにより一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられます。
【解説】
当院では、透析治療を行っています。
血液透析を行うために、シャント(体内からたくさんの血液を連続的に取り出し、充分な血液量が確保できるよう動脈と静脈を体内または体外で直接つなぎ合わせた血管)を使用します。このシャントが何らかの理由で狭窄する(狭くなる)ことがあり、狭いところを広げる治療を行っていることから、「手術・処置等の合併症」の件数が多くなっています。
更新履歴
- 2021/9/27
- 令和2年度 病院指標ページ公開 ※患者数が10未満の項目については公表していません。
【定義】
令和2年4月1日から令和3年3月31日に退院された患者様のうち、一般病棟に入院歴がある患者数を10歳刻みの年齢で集計したものです。90歳以上は1つの階級としています。
【解説】
病院のある島根県益田市の高い高齢化率を反映した分布になっています。最多階級は前年同様80歳代で、全体の32%(前年度35%)を占めています。90歳代以上を合わせると、70歳代以上が全体の79%を占め、高齢者が多いことがわかります。
少子高齢化の影響や小児科を標榜していないため、20歳未満の患者数が極端に少なくなっています。