医師会病院

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2021.02.09 リハビリ通信

尿失禁のリハビリについて

尿失禁の改善が期待できるトレーニングについて

加齢や肥満、出産などの影響で起こりやすくなる尿失禁。ある調査では、20代から60代女性の6割は尿失禁の経験があり、男性の60代以上の方の3割は尿失禁に悩んでいると言われています。
 

尿失禁の種類について

尿失禁は、主に腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁の2種類に分けられ、2つが混在する混合性尿失禁もあります。もっとも一般的なものが「腹圧性尿失禁」で、緩んだ骨盤底筋群がくしゃみや重いものを持った時などに入る腹圧に負けて、尿道が開いてしまい尿失禁を生じる症状です。この「腹圧性尿失禁」に対して、この骨盤底筋群の意識的に収縮を促すトレーニングを2~3ヶ月継続することにより、尿失禁の改善や予防に期待ができると言われています。
 

骨盤底筋について

骨盤底筋群は恥骨と尾骨の間にあるハンモック状の骨格筋で、膀胱、膣、子宮、直腸などの臓器を支え、また開閉するという重要な役割を担っています。
イメージとしては股の間、排泄部の周りにある筋肉と意識すると良いと思います。骨盤底筋トレーニングでは、この筋肉を意識して動かすことが重要になります。

 

骨盤底筋のトレーニングについて

骨盤底筋トレーニングの方法は様々ですが、骨盤底筋の収縮と弛緩が意識的に行えていなとトレーニングの効果は十分には期待できません。また高齢になるほど習得は難しくなり、指導者の下での実施が好ましいとされています。今回は、補助的に骨盤底筋の収縮を促せるトレーニング方法をご紹介したいと思います。
 

骨盤底筋を意識的に収縮させるポイント!

1. 男性は肛門を締める(排便や放尿を我慢するように)
2. 女性は膣、尿道を締めるように意識する(トイレで尿を途中で止めるように)
3. 息を吸いながら肛門、膣を胃のほうへ吸い上げるような感じで持ち上げる
4. そのまま3つ数えたら、息を吐きながら全身の力を抜いて元へ戻す
5. 力み過ぎると逆効果なのでリラックスして行いましょう。
 

立って行うトレーニング

① 立ち座り運動(10回を目安に)

※空のペットボトルを用意してください。
※ペットボトルにマジックテープなどを張ると滑らずに行いやすくなります。

・椅子に座る。テーブルなどの支えを前に。
・足にペットボトルを挟む
・そのまま立ち上がる
※できるだけ足の力で立ち上がる

 

② 机に手をついて行うトレーニング(10回を目安に)

・足を肩幅に開く
・全体重を腕に乗せてテーブルに手をつく。
・肛門と膣を締めその後緩める
・ポイントを参照

 

座って行うトレーニング

①ボール転がし体操(10秒ずつを目安に)

椅子に座って足の裏でボールを転がす。
※前後左右と円を描くように転がす
※柔らかめのボールを少し抑えるように

 

② 座って行う骨盤底筋運動

・椅子に腰掛け脚を肩幅に開く
・肛門と膣を締めてその後緩める
※ポイントを参照

 

おわりに

骨盤底筋の意識的な収縮は高齢になるほど難しいと言われています。老後のために、失禁が気になる方は早めのトレーニング、予防が大切だと思います。

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