医師会病院

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2020.12.01 リハビリ通信

コロナ禍、生活が不活発になっていませんか?

 2020年も残りわずかとなってきました。世界中が東京オリンピックに沸く一年になるはずが、新型コロナウイルスに振り回される一年となりました。大規模なイベントが軒並み中止や延期となっただけでなく、地域のお祭りや行事、地区の集まりまでも中止や縮小となりました。感染予防対策を取ることで、徐々に集まりやイベントが再開され、人の流れも活発になりつつありますが、まだまだ以前のようにとはいかない状況です。様々な活動が制限される中で気を付けて頂きたいのが「生活不活発病」です。
 

生活不活発病とは

 生活が不活発(「動かない」状態)になったことにより、こころやからだの機能が低下する状態です。不活発になる原因としては、今回のような自粛生活だけでなく、病気やケガのこともあります。こころやからだの機能低下は、歩くことや身の回りのことなどの生活動作が難しくなる、疲れやすくなるといった「動きにくい」状態をもたらし、さらに「動かない」ようになってしまうという悪循環を生じさせてしまいます。
 

*参考文献:大川弥生 『「動かない」と人は病む 生活不活発病とは何か』(講談社, 2013)

 

 高齢の方や持病のある方など、普段から動きにくさを感じていらっしゃる方は、特に生活不活発病に注意が必要です。予防には、「動くこと」が大事になります。
 

どれくらい身体を動かすことが必要?

 厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」において、65歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準が、【強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週行う。具体的には、横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行う】と示されました。
 

身体活動の基準「メッツ」とは

 身体活動の強さを、座って安静にしているときの何倍に相当するかで表す単位です。座って安静にしている状態が1メッツ、普通の歩行が3メッツになります。「メッツ・時」は、身体活動の量を表す単位で、「メッツ」に実施時間をかけたもので、普通の速さで1時間歩いた場合<3メッツ×1時間=3メッツ・時>となります。
 

どのような活動が、どの程度の強度?

 運動に限らず、日々の生活の中の活動、家の仕事も立派な身体活動になります。どのような活動が、どの程度の強度になるか、以下の表に示しました。

 

 では、家の仕事で身体活動の量を出してみましょう。
  *20分掃除機をかける ⇒ 約3.0メッツ×1/3時間=1メッツ・時
  *30分料理をする ⇒ 2.0メッツ×1/2時間=1メッツ・時
 

家の仕事にひと工夫

 何気なく行っている家の仕事も、姿勢や体の動きを意識したり、ひと工夫することで、普段以上に脳や筋肉を使った活動になります。例えば、「掃除機をかけるときに姿勢に気を付けてみる」「利き手ではない方の手で、台拭きをやってみる」「作ったことのない料理に挑戦してみる」といったことです。
 また、家の仕事や役割は「動く」という側面だけでなく、「生きがい」にもなります。やりたいと思っても、すぐ疲れる、転びそうなどの理由で思うようにできないという方は、休みながらでも少しずつ行う、椅子に座って行うなど、やり方を工夫してみましょう。
 

おわりに

 これからは寒さが厳しくなってきて、それだけで、動くことが億劫になり、閉じこもりやすい状況になります。今一度、日々の活動を振り返って、笑顔いっぱいの活発な日常にしてみませんか。
 

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