医師会病院

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2011.04.04 リハビリ通信

知ってますか?高次脳障害を!!

高次脳機能障害とは?

脳卒中や交通事故などで脳が損傷されると記憶障害、集中力や考える力の障害、遂行機能障害(物事を自分で計画して行動できない症状)、性格の変化などを生じる事があります。これらの障害を『高次脳機能障害』と言います。
身体に麻痺などの後遺症がないことも少なくなく、障害が無いと勘違いされてしまう事が多くあります。しかし、実際の社会生活では、様々な場面で困った問題や人間関係でのトラブルが出てくる障害です。
 

原因は?

脳血管障害 : 脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血が原因。
頭部外傷  : 交通事故や転落事故による頭部の損傷が原因。
その他   : 脳炎、脳腫瘍、低酸素脳症などもある。
 

どんな症状なの?

≪主な症状はとして≫

症状名 特徴
発動性の低下 何事にも意欲を持てない。
前向きに物事を考えられない。
自分から会話を始められない。
ボーッと固まっている。
脱抑制の症状 衝動的な行動をしてしまう。
いつもイライラしている。
腹を立て、許すことができない。
長い時間座っていられない。
してはいけない行動とはわかっていても、抑えることができない。
記憶障害 人の名前や顔が覚えられない。
作業中に自分が何をしていたかのか忘れる。
自分のスケジュールを忘れる。約束を守れない。
注意障害 集中して作業などが持続できない。
ボ~っとしてしまう事が多い。
気が散りやすく集中できない。
呼びかけに対する反応が遅い。
遂行機能障害 自分で計画が立てられない。
物事の優先順位を決められない。
要点を絞り込むのが困難。
間違えを修正して、計画を変更する事が出来ない。

 

  
 

高次脳機能障害への対応

家族、友人や職場の人が高次脳機能障害を理解する。
・病前や事故前と性格や行動が変わってしまったことを理解する事が大切。
環境を整える。
・環境への適応が苦手なため、その人に合わせた生活環境を整え、周囲の人達のコミュニケーション方法を統一することが大切。
 

症状別の対応

●発動性の低下への対応・指導
 ・「わかっているけどできない」ということを理解する。
 ・当事者に対して「なまけている」と言わない。
 ・自分から始められること、できることを誉める。
 ・興味を持てるものから始める。
 ・課題などでは必ず本人に選択させる。
 

●脱抑制への対応・指導
 ・批判したり否定しない。
 ・話を最後まで聞く。
 ・イライラしたら周囲が気付く。
 ・リラックスする方法を教える。
 ・不適切な行動は指摘するが責めてはいけない。
 ・行動する前に1秒待つ習慣をつける。
 

●記憶障害への対応・指導
 ・メモ帳やスケジュール表を利用して、記憶の代償を行う。
 ・タイマーや携帯電話のスケジュール機能を利用して、予定時間の確認を助ける。
 ・複雑な指示や会話ではなく、簡素に的確に伝えると記憶しやすい。
 ・いつも使うものなどは、決まった場所に置いておく。
 ・トイレの場所が覚えられない場合は、廊下にテープを貼り手掛かりを作る。
 ・その日に起こった事を日記に書く。
 

●注意障害への対応・指導
 ・会話中は話し手に注目するように声掛けを行う。
 ・簡単な作業、課題から始め、徐々に集中する時間を延ばしていく。
 ・作業、課題中はTVなどの騒音を消して静かな場所で行う。
 ・必要なメモは、目に付く机や壁に貼っておく。
 

●遂行機能障害への対応・指導
 ・会話や指示は、重要なポイントを簡素にして伝える。
 ・同時にたくさんの指示を伝えない。
 ・時間に余裕を持って計画を立てる。
 ・作業中は頻繁に手順や方法を確認する。
 

リハビリテーション

当院では、リハビリテーション科医師の指示の下、言語聴覚士、作業療法士を中心に専門的な検査を実施し、高次脳機能障害の評価を行います。そして、症状に対しての訓練や環境調整のアドバイスを行います。

※高次脳機能障害についてお困りの事などありましたら、当院リハビリテー ション科に一度ご相談下さい。
 

最後に

高次脳機能障害は本人が自覚していない場合が多くあります。周囲の人がこの障害を理解して関わることが一番大切です。

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