医師会病院

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2022.10.01 リハビリ通信

音楽について

はじめに

 暑さもやわらぎ、すっかり秋めいてきました。秋といえば芸術の秋ということで、今回はその中でも音楽をテーマにお話していきます。特に医療・介護場面における音楽の活用法、効果についてお話していきたいと思います。
 

音楽は大きく分けて、

 〇聴く
 〇歌う
 〇演奏する(楽器、手拍子)
 〇音に合わせて体を動かす

に分けられ、音楽療法を取り入れている医療機関もあります。
⇒音楽を聴く、歌うといった活動は自律神経の中でも副交感神経に作用し、効果が全身にも波及していくと言われています。
 

◎医療・介護場面での活用

【認知療法として】
①回想法
馴染みのある曲を聴く・歌うことで、その歌を聴いていた頃の記憶を呼び起こす効果があります。久々に聴いた曲でも脳は覚えており、懐かしい気持ちを思い出します。また歌詞を思い出すことで、認知機能の維持にも働きかけることができます。当院でも歌唱は勿論ですが、ピアノが弾ける患者様に対し実際に演奏を取り入れています。
 

②コグニサイズ          
コグニサイズとは、認知課題(cognition)と運動(exercise)を組み合わせた認知症予防を目的とした取り組みのことです。例で示したように認知課題として歌を取り入れています。              
 

例 「歌いながら  のタイミングで手を叩く」

あんたがたどこ 肥後
肥後どこ 熊本
熊本どこ 船場
12え船場山にはたぬきがおって
それ 猟師が鉄砲で打って
煮て 焼いて 食って
それ 木の葉でチョッとかぶせ

 

【パーキンソン病に対して】
パーキンソン病を発症すると動作が緩慢になります。その際に音楽やメトロノームのリズムを利用して目的の運動を誘発する方法があります
また、抑揚がつけにくく小声になるという症状もあり、発声練習や喉の機能を鍛える練習として歌唱も取り入れます。
 

【半側空間無視に対して】
脳卒中等で脳を損傷した際に起こる症状として、視覚には問題がないのにも関わらず片側の空間を認識できない半側空間無視というものがあります。
この場合、木琴やピアノといった楽器を弾くことで注意が向きにくい方向に意識を向けて頂くことができます。
 

【麻痺や怪我に対して】
身体機能の回復過程の中で、楽器を叩く・弾くことで更なる機能向上を図ります。楽器演奏が趣味の患者様も多く、その方が楽器を演奏する際に必要な能力(可動域、筋力、手指の細かい動き、力加減等)を抽出し難易度や段階づけを行います。また、リハビリも並行して行っていきます。
 

上記はあくまでも一例ですが、音楽は医療・介護場面でも様々な場面で活用されています。
また、その他にも

 ・カラオケ:気分転換・ストレス発散
 ・オルゴール調の曲:心身のリラックス・安眠効果
 ・合唱・セッション:仲間ができ交友関係が広がる

と良い効果を多々もたらすことが可能です。
 

終わりに

長引くコロナ禍により、コンサートやライブ・演奏会に足を運ぶ機会が減っていると思いますが、近年は動画共有サイトやサブスクリプションの普及により手軽に音楽が楽しめる時代になっています。
皆さんもお好きな曲や懐かしい曲を生活の中に取り入れて、音楽のもたらす効果を体感してみてはいかがでしょうか?
※大音量で音楽を聴くことは難聴につながる恐れもあるため、適切な音量で聴いて楽しんでくださいね♪

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