医師会病院

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2020.08.01 リハビリ通信

MCI(軽度認知障害)をご存じですか?

 現在、日本では認知症の方が460万人と言われ、今後は人口の高齢化に伴いさらに急増するといわれています。加齢に伴い身体や頭の機能はどうしても衰えてしまい、75歳を過ぎた後期高齢期になると認知症の発生頻度も高くなっていきます。そのため今後も増え続ける認知症には予防が重要な課題と言われています。
 

 皆さんは軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:以降MCIと表記)をご存じでしょうか?最近は生命保険のCMで認知症への備えや保障に加え、「MCI」も保障するというようなものも見かけるようになりました。MCIというワードが世間で少しずつ認知度が上がってきているようです。
 このMCIというのは、認知症のような症状が出るけど認知症ではない、健常と認知症の中間で、認知症の前段階と呼ばれるような状態だと言われています。認知症の方とは別に、MCIの方は現在日本に400万人もいると推測されており、比較的身近な障害ですのでこれからご紹介させて頂きます。
 

 このMCIは少しずつ認知症と似た症状は出ますが、生活に助けがそこまで必要でないことが多く、まだ認知症ではありません。ところが、MCIと診断された患者さんの約50%が5年以内にそのまま認知症へ進行すると言われています。
 しかし、MCIは認知症と違い正しい予防により健常な状態へと回復が見込め、トレーニングにより認知機能を高め認知症への移行を防ぐことができる、認知症の発症を遅らせることができるのが特徴と言われています。


 


 

では、MCIにならないために、MCIになっていても回復できるためには一体何ができるのでしょうか?
予防できる手段として、生活の中で簡単かつ楽しく取り組める過ごし方の一例を順に紹介していきます。
 

①趣味、生きがいをもつ
年齢にかかわらず楽しむことを進んで行うことで認知症の予防につながります。
 

②指先を使った作業を続ける
囲碁将棋、手紙を書くなど、些細なことでもいいので指先を使った作業を続けてみましょう。指先を使うことで脳に刺激が入りやすくなります。
 

③一日のスケジュールを組み立て、生活を工夫しながら取り組む
毎日同じことをするのではなく曜日ごとに行動をかえてみる、要領良く買い物や家事を済ませるためにはどうするかを考えてから行動してみることも良い刺激になります。
 

④家族以外の方とも交流を持つ、役割を得る
家族以外の方とも交流を続け地域や社会とのつながりを維持していくこと、そして家族や友人から何かを任されそれに応えることで自身の自尊心を高めることができ、生活の質も維持することに役立ちます
 

⑤適度な運動をする
ウォーキングなどの有酸素運動は酸素を脳に取り込みやすくなり脳の若返りにつながります。まずは1日10分程度から始め、慣れたら週に2~3回30分程度行ってみましょう。
 

⑥同時に2つのことをやってみる
料理を2品同時に作ってみる、お風呂で体を洗いながら昨日食べた食事の内容を思い出す、足踏みしながらしりとりや計算をする、テレビを見ながら洗濯をたたむ、など何でも良いので集中して同時に2つのことを行うことで脳にしっかりと刺激を与えることができます。行う際には転倒や怪我等に注意して行ってみてください。
 

いかがでしょうか?
生活の中で一つでも取り入れられることがありましたらぜひ積極的に活用して頂いて、心身ともに元気で過ごしていきましょう。

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